さよなら、サリンジャー |
サリンジャーと言えば、『ライ麦畑でつかまえて』。
19歳のときに読んで、あっという間にサリンジャーの世界に連れて行かれました。
屈折した若者の心理を描いたこの作品は、ずっと若者のバイブルのように言われていて、まるで青春時代にこの本を読めば、誰でもこの本の主人公に共感するかのように評されていました。屈折した若者だった私は(笑)、世間の評価に飲み込まれるのがイヤで、この本を何となく遠ざけていたのです。
でも、大学に入った頃、すっと手が伸びて、自然に読んでみようという気になりました。読んでみると、一気にはまりました。主人公の心理だけでなく、かなり昔のNYが舞台なんですが、全然古臭さを感じさせない、何だかオシャレな雰囲気にも、心をさらわれました。
以降、サリンジャーの数少ない作品を読んで、ますますサリンジャー作品に引き付けられました。
『ナイン・ストーリーズ』は、中でも大好きな短編集です。何度も何度も繰り返し読みました。「グラース・サーガ」…グラース兄妹の一連の物語が、何度読んでも、新たな発見をもたらしてくれる気がして、魅せられました。
23歳でマレーシアに赴任するとき、サリンジャーの本は日本の実家に置いて行ったのですが、マレーシアの古本屋で文庫本2冊を見つけ、また手にとって読み返しました。
19歳から20代半ばまでを共に過ごしたサリンジャーの小説は、私にとって、紛れもなく「青春の書」です。
もう青春はとうに通り過ぎた私ですが、今、読み返してみると、また新たな発見があるのかもしれません。久しぶりに、サリンジャーを読んでみようかな…。
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